「総合」?

大村車両基地北端。

ここ数年来、土盛りをし、沈降に合わせて整地を続けていたと思う。

大村線側・および北端には擁壁が設けられている。新幹線の本線は、東側を走り、この場所からは見えない。新幹線と大村線は、ここから南に向かってだんだん接近するが、その間の三角地帯に基地が建設されることになる。ちょうど、新函館北斗駅近傍の函館総合車両基地が、函館本線と新幹線本線との間に設けられているイメージに重なる。

基地の南端近くから。大村線と本線は、かなり近接している。

基地予定地内には、まだ建造物などはない。

さて、この大村車両基地だが、仮にGCTが西九州ルートに正式採用されていたならば、新大村の軌間変換装置より佐世保線・長崎本線を介して、新鳥栖の軌間変換装置から鹿児島ルートに合流するルートで、車両を熊本総合車両基地へ回送できたはずなので、全般検査能を有する「総合車両基地」である必要はなかったはずだ。

ところが、GCT不採用が正式に決定したため、西九州ルートで使用される車両はフル規格車両となり、他線へ乗り入れない〝天涯孤独〟の運用を強いられる。

かつて、鹿児島ルートが新八代以南のみの暫定開業をした際、川内の車両基地は、「総合車両基地」ではなかった。全般検査に要求される、台車を含む重要部品のオーバーホールは、小倉工場へ陸送していたという。

同じ手を使うのなら、大村基地は総合車両基地ではなくなるのだが、一体どうなるのだろう?

参考になるのは、鉄道・運輸機構が基地建物諸設計を発注した際の公示書。一昨年度のものだ。

うーむ、そこにはたしかに「全検」の文字が躍っている。

となると、「大村総合車両基地」ということになる。

車両キロがさほど大きいわけではないのに、総合車両基地をエリア内に2箇所も設けなければいけなくなるとは。JR九州は泣いていると思う。

明かり区間約7km。

新幹線西九州ルート・大村市内の福重高架橋工区。長崎方に向かい、25‰降り勾配が終わるあたりから、大村車両基地の手前まで。

工区内に「よし川橋梁」という橋脚スパンのやや長い構造物がある。川を斜めに渡るので。

工区南端付近の、郡川橋りょう。大村線(手前)と併走を始めている。

このすぐ右(南)が、大村車両基地になる。

ルートは、松原トンネルを抜けてから大村市街を走るが、この間の明かり区間は7km弱になる。列車に乗ればあっという間だが、トンネル区間が当たり前だと、この距離でもかなり長く感じる。

JR版 羽田アクセス環境アセス手続き実施

忘れてたけど、JR東日本より「羽田空港アクセス線(仮称)の環境影響評価手続きの実施について」という報道発表。

環境アセスの対象になるのは計12.4kmだが、既設(営業休止区間含む)の貨物線を使えるため、純然たる新線というのは意外に短くなるはず。それでもかなりの工事量になるはずだ。

ダイヤもわからんのに/次の駅。

新幹線西九州ルート・武雄温泉〜長崎間の建設に伴い、連絡する在来線特急の走る肥前山口〜武雄温泉間を複線化する予定だったが、鉄道・運輸機構が複線化部分を短縮した計画の認可申請を求めている、というお話し。佐賀新聞が報じた。

「地元は不愉快」という趣旨だが、肥前山口から佐賀・鳥栖よりは複線だし、高橋〜武雄温泉間は、半ば軌間変換装置のために複線化するようなものだから、それが要らないとなれば、複線区間を短縮したところで列車ダイヤに影響は及ぼさないだろう。

***

その鉄道・運輸機構から、嬉野温泉駅舎の建設工事安全祈願祭挙行予定のニュースが入ってきた。諫早駅に次いで2駅目。

坂道。

九州新幹線西九州ルート・大村市内の松原トンネル長崎方坑口。トンネル内部で、長崎方に向かい降り25‰に転じ、多良岳西麓の尾根を串刺しにしつつ谷を越える区間を終え、大村市街へ向かう。


進む先には、右手に大村湾が見える。防音壁が嵌まっても海が見えるといいね。

松原トンネルからこちらは、松原高架橋工区。土木工事は完成している。尾根を越える部分はトンネルでは無く、低めの橋脚の高架橋となっている。

まもなく25‰が終わる、というところ。

ほぼ完全に低地に降りきった部分。

サイボーグ山ふたたび。

新幹線西九州ルート・彼杵川橋梁ほか工区。

着工が遅く、まだ桁が併合していない。

着工が遅かったのは、長崎方の三ノ瀬トンネル坑口地山防護に時間がかかったためだと思われる。

いやあ、何度見ても凄まじいね。今回は下から見上げてみた。

高いところから下を見おろすと足がすくむ感覚は多くの人と共有できると思うが、下から見上げても足がすくんだ。

「保守」という言葉の意味

斜面ってのは、元々耕作には適さない。

そこを拓き、僅かな土地で米を作る。

稲作には、水を引かねばならない。沢の水を引くのだが、適切な水温の管理が難しい。そもそも、田に引いた水を漏らさずに石垣を組むのが至難の業だろう。

斜面を埋め尽くした棚田を見るとき、この地を拓き、守ってきた地域の先祖達に、深い崇敬の念を抱くのを禁じ得ない。

太古には、このような技は困難だっただろう。日本は、稲作の故郷に比べ寒冷であるはずだから、稲作技術の深度化が必要だったし、斜面を拓くには、土木施工技術の高度化や社会の集団化も待つ必要があった。生活を「保」ち「守」るということは、狷介固陋であり続けることでは断じてない。

不具合を少しずつ修正し、時代に合った新しいものに変え続けることことが保守である。鉄道の保守部門の仕事を思い出していただければ、その言葉の意味が分かるだろう。昨今の自称・保守派は、そこを根本的にカン違いをしている。先祖に敬意を表したいのなら、時代に適合するよう自らを変えつづけてきた、先哲の姿勢にこそ学ぶべきだ。何でも懐古趣味に浸るのが保守だと思っているのは、単なる暗愚である。

※撮影地:俵坂峠付近。

少しでも前へ。

新幹線西九州ルートで2番目に長い俵坂トンネルの途中で、佐賀県と長崎県の境を超える。

同トンネルの長崎方坑口。

左側は彼杵川橋梁。着手が遅く、まだ土木工事が終わっていない。

俵坂トンネル坑口をズームしてみると、既にスラブ敷設用レールが見える。

一刻も早くレール敷設を進める為、土木工事完成部ギリギリのところまで手を付けているのだ。

軌道敷設中。

新幹線西九州ルートの嬉野温泉駅高架橋他工区。

レールが見えるね。拡大してみよう。

嬉野温泉駅部の高架橋は、防音壁が嵌められていないのですぐ分かる。

この部分、下り線はスラブ上にレールが敷かれている。一方、上り線はスラブ敷設用レールはあるものの、スラブがまだはめ込まれていない。

スラブ敷設車は、簡易トイレを携帯しているらしい。

なお、駅部の高架橋土木部分は完成しているが、ホームや駅舎は全く姿を現していない。