自民党代議士顔負けの発言にびっくり
05年12月24日の、北海道新聞の取材に対する民主党幹事長・鳩山由紀夫氏の発言には驚いた。北海道新幹線のルートに関して、「経済性や受益人口を考えれば、室蘭・苫小牧経由の南回りが現実的」という主旨だ。室蘭が地盤の同氏の発言は、明らかに地元への利益誘導を意識している、と捉えられてもやむを得ない。かようなあからさまな発言は、自民党代議士の十八番だと思っていたが・・・。
南回りを避けなければならない最大の理由
極めて重要な地誌的因子が、南回りルートを積極的に否定する。それは、世界第一級の活動的火山地帯を抱え込んでいるということである。一つには、洞爺カルデラ(昭和新山・有珠山を含む)、もう一つが支笏カルデラ(樽前山・恵庭岳を含む)である。有珠山、樽前山は、有史以来大噴火を繰り返し、付近の地形を大きく変えてきた。最近では2000年の有珠山噴火が記憶に新しい。室蘭線が数ヶ月に渡って不通になったことを、忘れてはならない。
洞爺湖や支笏湖が、そもそもなぜそこにあるのか。それらは、おびただしい量の噴出物を伴う巨大噴火によって形成されたものだ。3万年前、今の新千歳空港の西側で始まった大規模な噴火は、火砕流噴出(平成の雲仙普賢岳噴火の際の、数万倍~数十万倍)を伴い、周囲数十平方キロを焼き尽くしながら、空港の載る平坦な台地を形成し、それまで太平洋に注いでいた石狩川の流路を日本海側へと変え、その後に支笏湖が形成されたのである。さすがにここまでの活動は、日本列島全体で見ても、平均して1万年に一回ほどしか起こらないが、それよりも桁が3つ小さな活動でも、間違いなく新千歳空港を埋め尽くし、千歳線を使用不能にしてしまうだろう。 政治・経済の世界ではほとんど語られることは無いが、その影響の大きさを考えれば、「知らなかった」ではすまされないのである。このルート論争には関係ないが、予定されている新幹線ルートは、道南にあるもう一つの活火山・渡島駒ヶ岳を積極的に避ける形になっている。熟考を重ねた結果得られたルートであることを物語っている。
道民益を第一に考えるなら、北回りルートを堅持するべきだ。短期的なものの見方で決めて良いことではない。
南回りを避けなければならない第2の理由
新幹線は、首都圏と札幌都市圏を最短距離で結ばなければならない。所要時間は短くなり、建設費も抑制できる。対航空との競争力は増し、地球温暖化防止に役立つことは論を待たない。所要時間が延び、航空と競争できなくなれば、何のための投資なのか。
南回りを避けなければならない第3の理由
沿線人口の多い南回りルートを、「並行在来線」にしなくて済む。この益は強調されるべきだ。
道町村会、町村議会議長会、市長会、市議会議長会が連携して、北回りのフル規格に加えて、南回りを「ミニ新幹線」化する構想を暖めているらしいが、この距離をミニ新幹線化するのには、時間対効果の面で、あまりメリットが無い。GCT乗り入れが現実的だろう。